最初に経験した狩猟はグループでの猪鹿猟で、勢子とワンちゃんが追い出したターゲットをタツマで待ち伏せして鉄砲で撃つという「巻き狩り」になります。
巻き狩りでは初めて持ち場に鹿が出てきた時に、安全装置を解除するのを忘れていて引き金を引いても弾が出ず、目の前を3頭の鹿が猛スピードで走り抜けていくのを見ているだけだったという失態を演じた苦い思い出があります。
今となれば笑えるエピソードですが、その場では初めてのターゲットを撃ち損じて後悔しきれないほど悔しい思いをしました。
その後3年程猟隊に参加させてもらい狩猟のことやワンちゃんのことなど多くのことを学ぶ事が出来ましたが、グループ猟に馴染めない自分に気づいたのと自分のワンちゃんで猟がしたくなったこともあり、猪鹿ハンターからウサギ撃ちに転向しました。
ウサギ撃ちの経験はもちろんないし、山でウサギを撃ったことも食べた事もありませんでしたが、大物猟をしていた時の勢子とワンちゃんの狩猟のやり方を見ていたので、同様にワンちゃんを使うウサギ撃ちでも狩猟の方法として大きく違うことはないだろうという考えでした。
そもそもワンちゃんを使った猟にしか興味がないので、単独流しで鹿や鴨を狙った猟は初めから眼中にありませんでした。
Djangoが狩猟に求めているのは、ワンちゃんと自分が能力を発揮しあい「獲物を仕留めるという共通の目標」を達成する過程や空間をワンちゃんと共有することです。
レースの世界に例えるとチームの勝利という目標の為にメカニックはマシンをキッチリと仕上げ、レーサーは走りで応えるというレーシングチームのライダーとメカニックの関係が、ワンちゃんとDjangoの関係そのものと言えます。
プロフェッショナルではないのでそこまで勝利にこだわりませんが、お互い相手を信頼し最高のパフォーマンスで同じ目標を達成する過程を楽しみたい訳です。
まぁ簡単に言うと愛犬&Djangoチームで狩猟を楽しみたいということですがw
もちろん狩猟の成果物であるジビエ肉が美味しいに越したことはないですが、ジビエ肉や鉄砲を撃つ快感を求めて狩猟をしている訳ではありません。
この先狩猟をする一番の理由である「自分のワンちゃんを使って猟をすること」が困難になればおそらく狩猟はやめると思います。
愛犬と自分だけで完結する猟が大前提で
- ハウンド(獣猟犬)を使う
- 一人で運搬出来る大きさの動物がターゲット
- ターゲットが身近にいる
- ワンちゃんが反撃される事のないターゲット
- ワンちゃんのサイズが最高でも中型犬
- ターゲットの肉が美味しい
という条件を考えていくとおのずとウサギ猟になってました。
ウサギ撃ちのここが面白い
ビーグルの追い鳴きが素晴らしい
大物猟の猟隊で使っていたワンちゃんがブルーティックなどのハウンド犬だったんですが、獲物を追うときの追い啼きの迫力や追跡している時の美しさに魂を奪われてしまい、ハウンドを使う獣猟しか考えられなくなりました。
ビーグルはハウンドとしては最も小さくてペットとして飼われている方も多いですが、立派な獣猟犬で小さいながらもハウンド犬の名に恥じない「追い鳴き」をしながら獲物を追跡します。
逃げるウサギも必死に振り切ろうと8の字で走ったり、岩から岩へと飛び移ったり急に向きを変えたりするトラップを仕掛けますが、ビーグルも負けじと優れた嗅覚を使いウサギのトラップを見破り追跡を続けます。
「トラップを破ろうとワンちゃんが必死に地面に鼻をこすり付けているな」
「同じ所をグルグル回っているが見失ったか」
「また臭いを見つけたな」
と飼い主ならワンちゃんの追い鳴きのパターンである程度状況がわかりますので、目には見えませんが臨場感のある追跡をワンちゃんと楽しめますし、一体感を感じることが出来ますw
トラップを見破って再度自信のある追い鳴きを始めると思わず遠くにいるワンちゃんを「よし」と声に出してほめてしまいます。
ビーグルを使ったウサギ撃ちのだいご味はまさしくこれで、ターゲットを追い詰める行動を臨場感の中ワンちゃんと共有できることだと思います。
さらに共有する相手(ワンちゃん)が自分の手でチビちゃんから育てたワンちゃんなら言葉に出来ない程嬉しいものです。
一人で運搬出来る大きさで肉が美味しい
大物猟ではターゲットを仕留めたのはいいが、林道まで引っ張り上げるのに何人もの人手がいるなんてしょっちゅうでしたので、単独猟を始めるにあたって仕留めても大きすぎて動かせない可能性がある猪・鹿は除外でした。
林道を車で流しながら転がす場所を注意しつつ獲物をやっつけられるなら可能でしょうが、Djangoの場合ワンちゃんを使った猟しか興味がないのでこれも却下。
その点ウサギはいくら大きくても大の大人が運べない程の大物はいませんから楽なもんです。
また肉も美味しくてDjangoの場合はいつも塩コショウやショウガ醤油をつけて焼肉で頂きますが、これが辛めの赤ワインによく合っていつも舌鼓を打っています。
といってもロースだけ食べて残りは相方のワンちゃんにご褒美として与えます。
当日は生肉のごちそうで労い、おやつ用にジャーキーにして保存しておきます。
きちんと処理されたウサギ肉は特に臭みもないのでジビエに興味がある方なら抵抗なくおいしくいただけると思います。
ターゲットが身近にいる
「兎追いし彼の山、小鮒釣りし彼の川」と唄われるように、ウサギなら小さな里山にも生息していますので、ターゲットに困ることはありません。
Djangoが住む地域は山間部でもない平地ですが雪が積もった日に近くの畑でウサギの足跡を見つけ、こんな所にもウサギがいるんだとビックリしたことがあります。
ターゲットがいる⇒ワンちゃんと狩猟が出来る場所という訳ではありませんが、少し山に入れば出会いはありますので気軽に楽しめる猟だといえます。
気軽に楽しめるのはいいことなんですが、追跡に夢中になったワンちゃんが道路に出てしまう危険があるので、Djangoの場合は結構山奥でウサギ撃ちをしています。
車にはねられて死んでしまった猟犬の話を何度も聞いたので用心しています。
交通事故で突然愛犬との別れが訪れるなんて辛いじゃないですか。
なんにせよターゲットが多い分猟場の選択肢が多いので、猟場の開拓が容易です。
反撃される恐れのないターゲット
獣猟となると日本では猪・鹿・熊(ヒグマ/月の輪)・キツネ・タヌキ・アナグマ・リス・ヌートリア・アライグマ・テン・イタチ(♂)・ミンク・ハクビシン・ウサギに限られますが、ハウンド犬を使った趣味の狩猟で楽しめるターゲットとなると猪・鹿・月の輪・アナグマ・ウサギ位でしょうか。
このうち反撃されたり怪我をさせられる恐れが全くない獣となるとウサギくらいじゃないでしょうか?
猪・熊はワンちゃんがぶっ殺されることはよくありますし、まれに人間が殺されますから。
鹿は無害じゃないの?と思われるかもしれませんが、巻き狩りでDjangoの目の前に飛び出してきた雄鹿はDjangoの姿を確認すると角を下げて戦闘態勢で向かって来たことがありました。
仕留めることが出来たので被害はなかったですが、あのまま突っ込んで来ていたら何らかの怪我は負っていたと思います。
窮鼠猫を咬むの言葉があるように野生の獣を侮ってはいけないこと、鹿にも角という立派な武器があることを再認識したことがあります。
後にも先にも一度っきりの出来事でしたが・・
ウサギ狙いなら本命のウサギを追っている限りは反撃されてワンちゃんや人間が負傷することもありませんし、手負いになった獣が狂って人間を襲ったりすることもありません。
人やワンちゃんに被害の恐れがないターゲットという点は、ハンターとしてはとても大きな安心感があります。
アメリカンビーグルは安全・安心
- 猪を追った猪犬が猪共々民家に入って滅茶苦茶に荒らしてしまった。
- 猪犬が牛舎に入り込んで牛を咬んでしまった。
- 猪犬が人様の飼い猫をかみ殺した。
- 猟犬が民家で人に咬みついた。
これDjangoの周りで実際に起こった出来事です。
猟犬が民家で人に咬みついた事件では猟隊が警察に事情聴取までされ、その猟隊は結局巻き狩りをやめました。
この猟隊はDjangoが参加していた猟隊ではなかったですが、以前にも猪を追った犬が人を傷つけたことがあったようで責任を感じての解散だそうです。
猪を追跡して時には猪と格闘するようなワンちゃんですから、普段はおとなしいかもしれませんが、いざ戦闘モードになるとやはり攻撃的になるようです。
どこか忘れましたが猟犬が車いすの人をかみ殺した事件がありましたが、猪を咬み止めるような攻撃力がある犬に襲われた被害者が死ななかっただけでも、飼い主のハンターは「怪我で済んだのでよかった」と素直に喜ぶべきでしょう。
人が死んでしまったら「アクシデントだった。」で済む話ではないので、当たり前ですが人を襲う恐れのあるワンちゃんは狩猟犬として使うべきではありません。
その点アメリカンビーグルは、やんちゃですが人懐っこく従順な性格なので訓練もしやすく、信頼できる相棒兼ペットとして最高です。
そもそもアメリカンビーグルのサイズが大きくても15kg程度で、とても人を組み倒して咬み殺すなんて芸当は出来そうにありません。
人を襲う恐れがないのとウサギが少し山に入るといるので、オフシーズンでも気軽にウサギを追わせて訓練が出来ます。
Djangoの場合は山菜つみや渓流釣りに連れて行ってオフシーズンの訓練としています。
ペットとして飼育している方も多いことから、人間に対して従順で賢いワンちゃんということがうかがえます。
アメリカンビーグルとのウサギ猟、面白そうじゃないですか?