狩猟を始めてから早くも20年程経ちました。

狩猟をする直接のきっかけではありませんが、Djangoの意識の中に狩猟や射撃について興味を持つ最初の出来事は中学の頃に読んだ大藪春彦の小説「汚れた英雄」で、主人公の天才GPライダー北野昌夫が狩猟をしているシーンを読んでからですね。

当時は角川映画が大人気で「汚れた英雄」も小説が映画化され、主人公北野昌夫を草刈正雄、レースシーン用に実際にマシンを走らせるライダーとして当時人気絶頂の全日本チャンピオンのオートバイレーサー平忠彦を起用して話題になっていました。

汚れた英雄

マシンを速く走らせることに有り余る才能を持ちながらも不遇な時を過ごしていた主人公が、持てる美貌と知恵と体力を武器にして女性たちを虜にしてのしあがり「東洋のロメオ」と呼ばれる華麗なGPライダーへとなる話なんですが、実写の映画は木の実ナナと草刈正雄のベッドシーンの草刈正雄の生尻と、後は実際のSUGOを借り切って映したレースシーンに1982年度全日本チャンピオン:木下恵二や上野真一などのYAMAHAのトップレーサーが走っているのが印象に残っている程度です。

あとは若き日の奥田瑛二、浅野温子、勝野洋さんたちが出演されていました。

奥田瑛二と浅野温子は主人公のメカニック兼ヘルパー、勝野洋はYAMAHAのファクトリーライダー役(レースシーンは木下恵二)。

当時からの親友同士である勝野洋と草刈正雄がこの映画で共演した際に呑みに出て、その時草刈正雄が勝野洋に結婚を強くすすめられ、その場で草刈正雄が当時付き合っていた現在の奥さんに電話してプロポーズ⇒翌日婚姻届提出というハッピーなエピソードも。

ですが、ハッキリ言って映画はイマイチ・・

Djangoの場合は映画を見てから小説を読んだので、映画に対する落胆などは感じませんでしたが、これ小説を読んでから映画を見た人は全く面白くなかったでしょうねw

映画はイマイチだったのですが当時は角川文庫の宣伝もすごくて、「読んでから見るか、見てから読むか」のフレーズで映画や文庫を売りまくっていました。

いや~、当時はすごかったですね。

ぱっと思い出すだけでも

  • 『時をかける少女』(原田知世主演)
  • 『探偵物語』(薬師丸ひろ子主演)
  • 『セーラー服と機関銃』(薬師丸ひろ子主演)
  • 『野獣死すべし』(松田優作主演)
  • 『野生の証明』(高倉健主演)

なんかが浮かんできますね。

「読んでから見るか、見てから読むか」のフレーズ通りDjangoも見てから読まされましたが、初めて読んだ時はあまりに専門用語が多すぎたり、登場人物のGPライダー時代にライバルとなるジェフ・デユークやジョン・サーティース、マイク・ヘイルウッド、伊藤史朗、高橋国光の凄さも知らなかったのであまり感情移入は出来なかったですね。

主人公の北野昌夫が射撃や狩猟を嗜むんだけど、これもスキートやトラップなどの言葉も知らなかったDjangoにはピンと来ず、唯一アフリカでのハンティングシーンでのウェザビーマグナムを手に深夜のライオンの群れとの死闘だけがこの時は印象に残りましたね。

といっても460のウェザビーマグナムがどんなものかも知りませんでしたが・・

この後オートバイレースに興味を持ちますがもっぱらレースを観る側で、ライダーとして走ろうなんて気は起きませんでした。

当時は国内でオートバイレースが大変な人気で、YAMAHAのスター平忠彦、河崎裕之、新鋭藤原儀彦、本間俊彦、HONDAならシンデレラボーイ伊藤真一やYAMAHAから移籍した木下恵二、250なら清水雅弘、小林大、SUZUKIは水谷勝など個性豊かな面子が揃っていて、当時のDjangoも夢中になってレースを観ていました。

TBCビッグロードレース、鈴鹿Big2&4、日本GPなどの国際レースでは、世界グランプリを戦うF ・スペンサー(HONDA)、ワイン・ガードナ(HONDA)ー、エディー・ローソン(YAMAHA)、ケビン・シュワンツ(SUZUKI)、後にウェイン・レイニー(YAMAHA)、ニール・マッケンジー(HONDA)、天才ジョン・コシンスキーなどが来日してあっさりと優勝をかっさらっていくのを見て、GPライダーの凄さに舌を巻いていました。

マイクヘイルウッド
1964年 ベルギーGP 500cc #8 マイクヘイルウッド 500cc優勝

益々興味を持ってGPライダーの事などを調べていくとマン島での高橋国光や谷口尚己たちのHONDAの活躍、MVアグスタでGP4連覇後HONDAへと移籍した天才マイク・ヘイルウッド、15ものタイトルを取って史上最高のライダーと呼ばれたジャコモ・アゴスチーニ、2輪で7つもタイトルを取った後にF1に転向してF1でもタイトルを取るジョン・サーティースなど、歴史に名前を残した英雄達の活躍がこれまた面白くてしょうがない。

これら歴史に名前を残した名選手たちの知識をもって再度「汚れた英雄」を読んでみると、往年の名選手たちが時には北野昌夫のライバルとして時には尊敬する相手として登場し、これが最高に面白くて第一巻「野望篇」~第四巻「完結編」と4冊もある長編小説を何度も読み返しました。

MVでマン島の2つのタイトル獲得やHONDAジム・レッドマンに対して日本人ながらモリーニの単気筒で奮闘する主人公の戦いは大変読み応えがありました。

何度も読み返していくうちにレースの事だけでなく主人公の趣味の狩猟や射撃のことがDjangoの頭に刷り込まれていったのはごく自然なことですね。

原作者である大藪春彦氏が狩猟をされていたこともあって、銃や狩猟のことがとても細かく書いてあって徐々に自分の中に狩猟に対する憧れが芽生えていきました。

まだレーシングライダーとして世に出ていなかった主人公がアメリカ軍人の猟犬係として軽井沢に住み込みで働いている時代も印象深く、猟犬や鳥撃ちの細かい描写はハンティングシーンが目に浮かぶようでした。

人それぞれ狩猟に興味を持つきっかけがあったと思います。

私の場合は原点はこの大藪春彦「汚れた英雄」で、今でも何年かに一度は読み返します。

モーターサイクルに興味のない方にはマシーンのメカニズムの話やグランプリの話は退屈かもしれませんが、狩猟に興味を持っている方や現在されている方なら狩猟や射撃のシーンの描写は面白いと思います。

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