アメリカンビーグル・レイ♀がドッグマーカーの電池切れから行方が分からなくなり、10日間放浪するという大騒動を経験し、一時はウサギ撃ちをやめて鳥撃ちに転向しようと考えました。
狩猟は五体満足のうちは第一の趣味と考えるDjangoにとっては狩猟自体をやめるという選択肢はなく、狩猟のスタイルを変更することを考えました。
ワンちゃんの回収は獣猟でハウンド犬を使う限り避けては通れない作業ですが、下手をすると永遠の別れとなる危険もある事を身に染みて感じ、そういった恐れの少ない鳥犬を使ってのんびり雉でも狙おうと考えました。
ハウンド犬と違って鳥犬はレンジも狭く獲物をしつこく追いかけて帰って来ないなんてことはまずないですし、そもそも獲物が最後の手段として翼を使って飛んで行きますからその時点でゲームが終わります。
鳥撃ちは鳥取に移住した直後に知り合ったハンターによく連れて行ってもらった事もあり、勝手を知っていましたので後はワンちゃんを選ぶだけでした。
鴨撃ちは興味が無く雉やヤマドリ狙いでしたので、レトリーバーではなく獲物をポイントしフラッシュさせてくれるワンちゃんが必要でした。
レトリーバーといえばラブラドール・レトリバーやゴールデン・レトリーバーが有名ですがこれは対象外。
ポインティングやフラッシングをする鳥猟犬といえば日本ではポインター、セッター、ブリタニースパニエルなどが代表的な犬種になりますが、個人的にあまり大きなワンちゃんが好きではないので、この時点で相棒としてはブリタニースパニエル一択でした。
ブリタニースパニエル 特徴
本種は鳥猟犬として多目的に使われる。
主に狩る獲物はヤマシギだが、キジ、イワシャコ、カモなども狩る。
優れた嗅覚を駆使してそれらを発見するとフラッシング(追い出し)をするが、訓練によってはセッティングまたはポインティングをさせることもできる。
また獲物の回収(リトリービング)もできる。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
その年の8月に我が家にブリタニースパニエル♀を迎え、「マロン」と名付けました。
基本的な訓練はアメリカンビーグルを育てたので問題ありませんが、鳥猟犬の訓練は初めてだったので専門書を購入して勉強しながら行いました。
猟犬としての本能があれば教えなくてもポインティングやフラッシングは出来るようになると聞いていましたが、当然少しでも早く仕事が出来るようになって欲しいので、家の近所で雉がいる地域を毎日一緒に散歩しました。
もちろん最初の頃は獲物を見ても反応しなかったですし、猟期でもなかったので獲物を咬ますこともできなかったので呼び戻しなどの訓練のみでした。
猟期に入り鳥猟仲間との共猟がマロン♀のデビュー戦でしたが、アメリカンビーグルとの共同生活のお陰か猟仲間の鳥猟犬にじゃれついて絡むことなく、縦横無尽にに猟野を駆ける動きの良さと運動量を見て「あとは匂いを覚えるだけで一人前」と一安心しました。
やはり対象の獲物を咬ませるのが一番の早道で、撃ち落とした雉や鴨を咬ませご褒美としての雉の腸を与えているうちに徐々に獲物に対する反応を見せるようになってきました。
最初は電撃に撃たれたようにフリーズするのでDjangoが膝でマロンのお尻を押して前に進めてフラッシュさせていましたが、ある日突然頭を下げてポイントし「よし」の合図でフラッシュするという立派な仕事をしてくれました。
5月27日生まれのワンちゃんがその年の年末にはポインティング出来ていたので、およそ6か月程度で完璧には程遠いですがある程度仕事が出来るようになった訳です。
これが早いか遅いかはよくわかりませんが、なんとか一人前に出来たのでほっとしました。
ポインティング・フラッシングは出来るようになり猟芸も上達していきましたが、飼い主のスキルが低いからでしょうがリトリービングだけは上手く教えることが出来ず、今でもまともに出来ませんw
池や川で撃ち落とした鴨のリトリービングをさせると張り切って水に入り鴨を回収してきますが、雉やヤマドリの場合獲物をおもちゃにしてしまってDjangoの元へ持ってくることはありません。
猟仲間のワンちゃん(ブリタニー)が雉を咥えて飼い主の元に運び手の上にのせる猟芸を見てとても羨ましく感じたものです。
鳥猟犬としてのブリタニースパニエルは水入りも良く運動量も多く鳥撃ちのよき相棒として最適だと思います。
我が家の場合は猟犬=ペットなのでワンちゃんの扱いに差はありませんが、Dangoの知り合いのハンターは考えが違って猟犬は使役犬でペットはまた別という考えです。
ペットであるトイプードルはキチンとしているのですが、猟犬のワンちゃん(ポインタ)は自治体に登録せず狂犬病の予防注射を含めて一切のワクチンを打たないので、ワンちゃんは全て短命で5歳まで生きたワンちゃんを私は知りません。
Djangoがその方と知り合って10年を超えますが、その間にワンちゃんが3世代交代し繁殖も何回かしていたのに、去年の猟期前にはワンちゃんが全滅したと聞きました。
出会ったときにはポインタが3頭いたはずですが・・
「大きくて涎を垂らしていて愛嬌がなくて家族からは可愛がられない」とおっしゃる方もいて見た目で判断されるポインタに同情すらします。
ペットとして愛されるには見た目や愛嬌がとても大切ということを表す話ですが、ブリタニースパニエルはそういった点では誰にも愛されるワンちゃんだとDjangoは思います。
ブリタニースパニエルはとにかく温厚で争いを好まない優しい性格で、やんちゃなアメリカンビーグルとの生活でも喧嘩することなく平和に暮らしています。
稀に御飯時に他のアメリカンビーグルにご飯を横取りされることもありますが、怒り狂う事もありません。
従順でご主人様のいう事をよく聞きますがやや感受性が強く、叱ると委縮してしまうので、訓練では褒めて能力を伸ばすのがベストです。
マロン♀の場合Djangoが他のワンちゃんを叱るとその雰囲気に耐えられず、塀を乗り越えて脱走してしまうので、自然と叱る行為が減っていきました。
ペットとしてはやや大きいと言う方も多いですが、それ以上に人懐っこく愛嬌があり平和で争いを好まない温和な性格は飼い主の心も安らかにしてくれます。
次の世代の鳥猟犬を考える時期になってきましたが、ペット兼狩猟の相棒として次に選ぶのはブリタニースパニエル一択です。